新たに発生した病原未知の病害について,分子生物学的手法を駆使して原因病原体の究明を行います。
病原体を同定した後,発病メカニズムを明らかにするとともに,診断法や防除技術の開発により,病気の拡大を抑えることが最終的な目的となります。
New! 植物防疫2016年1月号に,
これまでの岩手県と病態チームの連携体制による成果をまとめた共著の論文が掲載されています。
http://www.jppa.or.jp/shuppan/month_2016.html#M1
菅広和・佐藤美和子・白川明日佳・関根健太郎
岩手県における網羅的RNAウイルス検出技術を用いた植物ウイルス病診断・防除の取り組み
【現在取り組んでいる病原未同定病害】
ピーマン微斑病(仮称*)
キク茎壊疽病(仮称*)
また,植物ウイルスがどのように病原性を発揮して,植物に病気を起こすのかについて研究しています。
そのメカニズムを知ることで,病気に強い植物の育成や耕種的防除法の確立を目指します。
【研究対象の植物ウイルス】
◎Tobamovirus(トウガラシ微斑ウイルスなど)
トウガラシ属植物の抵抗性を打破する分子機構の研究
平成23年度 公益財団法人山崎香辛料振興財団 研究助成
「ペッパーマイルドモットルウイルスによるトウガラシ属植物の抵抗性打破機構の解析」
研究成果普及計画書あり
◎Cucumber mosaic virus(トマト壊疽系統など)
発病機構の研究
◎Broad bean wilt virus 2(リンドウ分離株)
1.Agroexpression型感染性cDNAクローンの構築
2.ウイルスベクターの開発
◎Gentian Kobu-sho associated virus(仮称**)
(和名:リンドウこぶ症関連ウイルス(仮称**))
1.リンドウこぶ症の原因究明
Kobayashi et al. 2013 (ウイルスの発見)
2.ウイルスの性状解析
Atsumi et al. 2013 (ウイルスの遺伝的多様性)
◎Gentian ovary ring-spot virus(仮称**)
リンドウ子房輪紋症(仮称*)の原因ウイルスの同定
棒状ウイルス粒子 電子顕微鏡撮影 by KTS 協力 岩手大学電顕室 佐々木氏
植物病理学会東北部会で発表しました。(2013.10.28-29 in 秋田市)
植物ウイルス遺伝子診断技術「DECS法」を用いた
リンドウ子房輪紋症(仮称)原因ウイルスの発見
関根健太郎・厚見剛・冨田麗子
(2014.9.25-26 in 盛岡市)
リンドウ子房輪紋症ウイルス(仮称)の
全塩基配列の決定
厚見 剛・冨田麗子・関根健太郎
【ウイルスの感染メカニズムの研究】
リンドウに感染するBroad bean wilt virus-2
[秋田県立大学との共同研究]
植物ウイルス病における退緑・黄化の分子機構
[愛媛大学との共同研究]Waliullha et al 2014 (人為的黄化誘導タバコの作出)
【ウイルス以外の病原体の研究】
◎リンドウ褐斑病 (リンドウ褐斑病菌)
接種法・感染評価系の確立
遺伝子操作技術の開発
◎リンドウ灰色カビ病
接種法・感染評価系の確立
◎リンドウのカビによる病気(新病害)
[岩手県農業研究センターとの共同研究]
園芸資源研究部の育種栽培技術開発チームと共同で耐病性育種を目指して,これに資するリンドウなど園芸作物への病原体の接種法の確立や病害抵抗性機構の解明を進めています。
*正式に病名登録された名前ではありません
**植物ウイルス分類委員会においてまだ認可されていません