タバコ属トバモウイルス抵抗性遺伝子 N'

トウガラシ属のL 遺伝子と同様にトバモウイルスの外被タンパク質を認識するタバコのN' 遺伝子を,L 遺伝子ファミリーの保存領域を用いたHomology-based cloningにより単離しました(Sekine et al. 2012)。

N' 遺伝子は1960年代に存在が見つかっており,タバコの育種にも利用されていますが,ついに遺伝子配列を同定できました。植物がどのようにウイルスを認識して身を守るのかを理解する上で,大きな進展です。

N' 遺伝子は,L 遺伝子群同様,トバモウイルスの外被タンパク質(CP; coat protein)を認識する。左表のように,N' 遺伝子は全てのL 遺伝子に認識されるTMVを認識できず,L 遺伝子属とトバモウイルスにみられる階層的な関係は,N' 遺伝子にはあてはまらない。このように同一の因子を認識するにもかかわらず認識特異性の異なる抵抗性遺伝子の性状を比較解析することにより,認識特異性決定機構を明らかにすることが可能です。

【参考】

Sekine, K.-T. , Tomita, R., Takeuchi, S., Atsumi, G., Saitoh, H., Mizumoto, H., Kiba, A., Yamaoka, N., Nishiguchi, M., Hikichi, Y., and Kobayashi, K. 2012

Functional differentiation in the LRR domains of closely related plant virus resistance proteins that recognize common Avr proteins.

Molecular Plant-Microbe Interactions 25:1219-1229.